始めて

Posted on

澄み渡った脳内に、次から次へと今までの自分の棋譜を超越する恐ろしい手のイメージが溢れ出して止まらなくなったコムギは、

王との 軍儀の実力差をまた大きく開かせる。
王はそれまで虫けら同然に思っていた人間の名前などに興味がなかったが、興奮と感動を呼び覚ます軍儀の相手となってい る少女に対し、始めてその名を問うた。 『コムギです。総帥様のお名前は何とおっしゃるのですか』と問い返された王に、学生キャッシング王に質問をぶつける無作法に怒りを覚えるプフ。王は何と答えて良い か分からずに一瞬呆然としたが、王は自分の名前について知らずまた名前が必要だと思ったことさえなかった。親衛隊のプフに名前を聞いても、『王はこの世界 で唯一の王です。
王を僭称する全ての人間を抹殺します』といった見当違いの答えが返ってくるだけである。 王はただ配下のキメラアントに命令を発するだけの存在であり、世界を誰も抗えない圧倒的な暴力で支配することだけを本能のままに自らの存在意義と していたが、興味を超えた感情を感じるようになってきたコムギに名前を聞かれた王は、『自分は何者なのか』という自己認識と自己言及の疑問に取り付かれ、 『学習能力を超えた知性・倫理の萌芽』が芽生えた。